東京株式市場の最前線から――ラジオNIKKEI「ザ・マネー」内コーナー『きょうカブ!~鎌田真一の今日の株式』。

2025年6月6日(金)の放送では、日本株が反発した背景と、5月の投資部門別データに見えた異例の“過去最高記録”について、鎌田記者が現場の温度感を交えて解説しました。

■ 朝の下落ムードを覆し、日経平均は反発!

今日はちょっと意外な展開だったんですよね。

朝6時、日経平均先物は100円ほど下げてたんです。「こりゃ下がるかもな」という雰囲気だった。

アメリカ市場ではナスダックが軟調。時間外ではブロードコム、好決算だったにもかかわらず下げていた。

「これは半導体株に売りが出るぞ」と、そんな見方もあったわけです。

ところが――

「日本株、底堅かったですね。」

値上がり銘柄が値下がりの4倍近くに膨らむ場面も。幅広く買いが入り、

日経平均は最終的に187円12銭高、3万7741円61銭で反発しました。

「今日も結局、プラスで終わりましたね。」

トピックスも+11.35ポイントの2767.82ポイントと堅調でした。


■ データが語る「記録ずくめ」の5月月間

さてさて、今日注目したいのが**昨日、東証が発表した“月間の投資部門別売買状況”**なんです。

これ、なかなかのデータですよ。

なんとまあ…記録がズラリ。

たとえば、

  • 海外投資家の買い越し額:72兆円(過去最高)
  • 個人投資家の売り越し額:27兆円(過去最高)
  • 事業法人の買い越し:2兆5000億円(過去最高)
  • 生損保の売り越し:4000億円(過去最高)

「とにかく“最高記録”が連発してるんです。」

証券会社の手数料も今はゼロですから、個人の取引も活発です。5週間あった5月、ボリュームは圧巻。


■ 去年7月と酷似?「6月急落説」はどう見るか

このデータを見て、ふと思い出したのが2024年7月

実はその時も、

  • 海外投資家の買い越し
  • 個人投資家の売り越し

この2つが、同時に過去最高だったんですよ。

で、その後どうなったかというと…8月に株価がドーンと急落

「おっと、じゃあ今回も?」とつい考えたくなるんですが――

「さすがにそれだけで“6月は下がる”って言い切るのは、ね。」

データは大事。でもそれだけに頼るのは危険です。

海外勢が買って、個人が売る。その背景には、個人の慎重な姿勢が見えるんです。


■ 鎌田の読み:今は「個別物色」の流れに注目

「じゃあ、来週の相場はどうか。」

現時点では、全体を動かす大きな材料は少なめ。あるとすれば今晩の米・失業率くらいですかね。

それよりも、今の相場が求めているのは「テーマ性」と「個別物色」。

防衛関連が買われている今、次に注目が集まるとすれば――

エネルギー、安全保障、電力株。このあたりの“出遅れセクター”に広がるかどうか、見ものです。」


■ きょうの注目銘柄とセクター

銘柄・セクターコメント
三菱重工売買代金トップ、強い動き
サンリオ引き続き物色されている
クラレ反発
アドバンテスト半導体関連として注目維持
建設・鉄鋼・陸運セクター別でも上昇上位に顔出す

■ 本日のマーケットサマリー(2025年6月6日)

  • 日経平均株価:3万7741円61銭(+187円12銭)
  • TOPIX:2769.33ポイント(+12.86)
  • グロース250:740.50ポイント(-15.90)

売買高:14億6413万株

売買代金:3兆6054億円

値上がり銘柄数:861(52.8%)

値下がり銘柄数:710(43.5%)


■ 金・原油市況(国内先物)

  • 金(1g):1万5694円(+91円/+0.58%)
  • 東京原油(1KL):5万6380円(+830円/+1.49%)

■ 最後に

「“記録づくめ”だった5月。その熱量は、6月の相場をどう動かすのか。」

投資部門別の資金フローにこれだけの偏りが出るのは、そう頻繁にはありません。

これを「兆候」と見るか、「一過性」と見るか――市場は試されるフェーズに入っています。