6月10日放送のラジオNIKKEI『ザ・マネー~きょうカブ!鎌田伸一の今日の株式』では、日経平均が3日続伸する一方で、後場にかけての上げ幅縮小、そして出遅れ銘柄への資金シフトなど、相場の“変化の兆し”について語られました。
臨場感あふれる鎌田伸一さんの語りとともに、今日の東京市場を振り返ります。
日経平均は3日続伸、でも午後から様子が一変
「はい、あの400円以上上げていた日経平均の上げ幅が縮小して……ちょうどこの番組が始まる頃からなんですよね。」
午後3時30分、大引けの日経平均株価は 3万8211円51銭(+122円94銭)。3日続伸を記録しましたが、午後2時以降は勢いを失い、上げ幅を縮小しての着地となりました。
トピックスもわずかに上昇し、2786.20ポイント(+0.83ポイント)。市場全体としては堅調ながらも、買いの勢いは後場でやや鈍りました。
上げ幅縮小の影にTSMCの月次売上高?
「これが要因かどうかは自信ないんですけど、TSMCの売上高……ちょっと気になる数字だったんですよ。」
鎌田さんが注目したのは、TSMC(台湾積体電路製造)の5月の月次売上高。
- 5月:3205億台湾ドル(前年比+39.6%)
- 4月:3495億台湾ドル(前年比+48%)
一見すると悪くない数字ですが、前月比では8.3%のマイナス。これが後場にかけての株価の伸び悩みに影響した可能性も指摘されました。
「数字がごちゃごちゃして申し訳ないけど、要は4月が強すぎたんですよ。それと比較されてしまった。」
ただし、TSMCの株価は時間外で4%近く上昇しており、「悪材料ではない」という見方もできます。
半導体関連株が後場に失速
「アドバンテストなんて一時360円高でしたからね。ところが終値は10円安。日足チャート、日経平均とそっくりです。」
- アドバンテスト:一時大幅高からのマイナス着地
- 東京エレクトロン:115円安で、日経平均のマイナス寄与度2位
半導体関連株は前場に買われるも、後場に一転して売りに押される展開。日経平均の上昇幅を抑える一因となりました。
出遅れ銘柄に物色の矛先が向かう
「今日は“値段の位置”が悪い株が買われている。それが一番の特徴です。」
この日の相場で特に注目されたのが、52週高値から大きく下落している“出遅れ株”への買い。鎌田さんは、2銘柄に注目しました。
■ 信越化学(4063)+1.3%
- 株価:4594円(+1.3%)
- 昨年7月の高値:6800円 ⇒ 現在は3割以上下
「半導体関連でありながら値持ちがよかった。これは“悪い位置にいるけど、まだ買われる”という今の相場の象徴です。」
■ 資生堂(4911)+6.2%
- 株価:2514円(+6.2%)
- 昨年6月の高値:5000円 ⇒ まだ半値にも届かず
「特に材料があるわけじゃない。でも上がってる。これは“出遅れ株だから買う”という意識が強い。」
「資生堂なんて、1年前の高値から半分以下ですよ。材料? いや、日焼け止めが売れてるって報道があったくらい(笑)」
材料よりも「値ごろ感」に反応する――そんなマーケット心理が表れた一日となりました。
注目はTSMCの米国市場での評価と米中協議の行方
「TSMCの株価がアメリカ市場で評価されて上がるようなら、明日の日本の半導体関連株にも買い直しがあるかもしれません。」
「でも、全部は米中協議次第。そっちが動けば、どうなるかわかりません。」
TSMCの月次売上が米国市場でどのように受け止められるか、そして米中貿易協議の進展如何によって、明日の相場も左右されることになります。
今日のまとめ
指標 | 終値 | 前日比 |
---|---|---|
日経平均 | 3万8211円51銭 | +122円94銭(+0.3%) |
トピックス | 2786.20ポイント | +0.83ポイント |
東京金 | 1万5562円 | +0.3% |
東京原油 | 5万7770円 | +1.2% |
為替(ドル円) | 144円40銭台 |
鎌田伸一の視点:「主役不在」相場で、何を買うか?
「今の日本株市場には、高値をガンガン更新するような主役がいない。その代わりに、弱い株の中から“まだ上がってないやつ”を拾っていくような動きが中心です。」
鎌田伸一さんが語ったように、いま日本市場は明確な牽引役を欠く状態。それでも、資金は流れています。流れている先は「出遅れ」た株。材料よりも**“今どれだけ下がっているか”が注目される相場**が、しばらく続きそうです。
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