ラジオNIKKEI『ザ・マネー』火曜日恒例のコーナー、「きょうカブ!~鎌田伸一の今日の株式」。

本日も午後3時25分時点の値動きを皮切りに、東京市場の一日をラジオ日経・鎌田伸一記者が振り返りました。

「3度跳ね返されたラインを超えた」日経平均、午後3時の時点で3万8500円台へ

「はい、まず午後3時25分時点の株価をお伝えしましょう。日経平均株価は3万8531円79銭、前日比で220円46銭高、率にして+0.58%の上昇です。

そしてトピックスは2786.42ポイントと、こちらも0.3%の上昇。為替は144円70銭台での推移となっています。」

ここで鎌田さんが注目したのが、日経平均が節目となる「3万8500円台」にのせて取引を終えそうだということ。

これは、ここ最近の相場のなかで“何度も跳ね返されてきた水準”でした。

「3万8500円というところは、2月の21日以来でして、あの時から数えて、だいたいこの価格帯では3回ぐらい跳ね返されてるんですよ。今日はその4度目のチャレンジで、ついに終値で超えてくる可能性が出てきた。」

「“3度目の正直”じゃなくて“4度目で成功”ですかね(笑)。これで日本株の底堅さというか、強さが改めて意識されてくると思います。」

米ナスダックの1.5%高も“日本株きっかけ”?

今回の株高、きっかけは週明けのアメリカ市場にもありました。

「ナスダック指数が月曜日に1.5%上がりました。けれども、実はその動き、昨日の東京市場の動きが先行していたとも言えます。」

「月曜日の東京市場では、日経平均が477円高と、前週金曜の下げを完全に打ち消す勢いでした。

日本株が世界に先駆けて、“イスラエルの情勢による悪影響は限定的だ”というムードを醸成したことで、アメリカ市場も安心して上がれた、という見方もできますね。」

半導体株が“飛び跳ねる”展開、周辺銘柄にも波及

「昨日のアメリカ市場で目立ったのが、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイシズ)の株。1日で9%近い上昇となりました。こういう飛び跳ねるような動きがあると、日本の半導体株も敏感に反応します。」

特に、昨日は日本でもアドバンテスト(6857)が9%台の上昇を記録。

今日もその流れを引き継ぎ、東京精密(7729)、ヨコオ(6800)、東洋炭素(5310)といった関連銘柄が買われました。

「東京精密は半導体製造装置メーカー。ヨコオはアンテナを作っている会社ですけれども、半導体関連の素材を提供しています。そして東洋炭素は、半導体基板に使う炭素素材を手がけている会社。つまり、裾野がとても広いんです。」

電力・エネルギー関連にも資金が流入、「安全保障」がキーワードに

「今日はそれだけではありません。電力設備関連のSWCC(5805)が目立ちました。昭和電線という名前だった会社ですね。こちらは9%近い上昇、7390円まで買われました。」

「加えて、東京電力ホールディングス(9501)も6日続伸で、今日は4%以上の上昇。終値は442円でした。」

なぜ電力株が強いのか──それには、今の世界の地政学的な状況が関係していると鎌田さん。

「防衛関連株って、今世界的に買われていますけど、その“根っこ”にあるのは安全保障の重要性です。そして安全保障といえば、エネルギーと食料の安定供給が欠かせない。電力会社や、エネルギーインフラに関わる企業が評価されるのは当然とも言えます。」

市場全体の強さを示すデータ、香港株との比較も

「ちなみに、4月末からのパフォーマンスを見ると、日経平均は約6.2%の上昇です。一方、香港のハンセン指数は8.7%の上昇。5月以降だけを取ると中国株が優位ですけど、4月からのトータルではまだ日本株が上。」

「つまり、世界的に“株価が下がりにくい環境”ができつつあるということですね。」

クロージング:日経平均は3万8536円74銭で大引け!

「午後3時30分を回りました。東京市場、本日の取引を終えました。」

最終的な終値は以下の通りです。

指標 終値 前日比
日経平均株価 38,536円74銭 +225円41銭(+0.59%)
トピックス 2,786.96pt +9.82pt(+0.35%)
為替(ドル円) 144円70銭台 変動小
東京金 15,873円 -0.4%
東京原油 61,570円 -0.7%
売買代金 4兆円超

FOMC後の「見通しギャップ」に注目

「今週の後半、木曜日から金曜日にかけては、アメリカのFOMCが大きな焦点になります。マーケットでは、今年0.25%の利下げが2回あるだろうという見方が優勢ですが、FOMCメンバーの見通しとどれだけギャップがあるか。」

「そこが、今週後半の相場を左右するポイントになると思います。」

セリアのディスカウントTOBも話題に

「速報です。百円ショップのセリア(2782)が、自社株TOBを発表しました。1株2000円での買い取りということですが、今日の終値は2612円なので、ディスカウントTOBになります。」

「こういったTOBは、取引先との資本関係の見直しや、大量売却への対応など、戦略的な背景がある場合が多いです。」

鎌田さんの一言で締め!

「今日の相場は、節目を超えた強さが印象的でした。テーマの広がり──半導体、電力、防衛、安全保障──がいまの日本株の底力を感じさせる展開でしたね。」