🎙️ コーナー概要
放送日: 2025年7月1日(火)
出演: 鎌田伸一(ラジオNIKKEI記者)、天野ひろゆき(キャイ〜ン)
松園勝喜(RHラボ代表)、八木ひとみ(アシスタント)
コーナー: 「鎌田伸一のその話、ほんまでっか?!」
番組: ザ・マネー 火曜日(ラジオNIKKEI)
📰 景況感は「良い」のに利益は「悪い」──日銀短観の不思議な構造

2025年6月調査の日銀短観が発表され、大企業の景況感は良好という見出しがメディアを賑わせました。
鎌田:「製造業の業況判断DIが+13、非製造業は+34。これだけ見れば“景気良さそう”って見えますよね。」
しかし、ここからが「ほんまでっか?!」なポイント。
鎌田:「実は、企業の経常利益の見通しが、全産業で約5%の減益。製造業は▲8.4%、特に“加工業種”では▲11%。これ、結構インパクトあります。」
さらにこう続けます。
鎌田:「つまり、景況感はいい。でも利益が出にくい。このミスマッチは、関税のコスト増+価格転嫁が難しいという企業の苦悩を映しているんです。」
🔧 製造業、特に「加工型」が苦しい理由
番組内では、特に自動車・電機・精密機器などの加工業種が厳しい見通しであることが強調されました。
鎌田:「組み立て型の製造業は、原材料価格の上昇や関税負担が重くのしかかり、それを販売価格に転嫁できるかが不透明です。」
松園:「コスト増加=そのまま利益圧縮になりますもんね。」
鎌田:「“値上げしたら売れないかも”という不安が、慎重な利益見通しを生んでいます。」
つまり、「需要はあるがコストが上がる」「売上は維持できるが利益は削られる」という、ジリジリと体力を削られるような構造が背景にあります。
📉 ドル建てで見ると、日経平均はすでに“過去最高値”?

ここで鎌田記者が提起したのが、為替と株価の新たな関係性。
鎌田:「去年の7月、日経平均は4万2000円、ドル円は161円。今年は日経平均4万円、でもドル円は143円。これ、ドル建てで見ると…」
天野:「えっ、去年より上がってるってこと?」
鎌田:「そう。去年は262ドル、今年は280ドル。アメリカ人から見たら“日経平均は高値更新”なんですよ。」
この“ドル建て日経平均”という視点から、
- 円高でも株価が維持されている
- 外国人投資家が評価している
- 円安頼みの相場から脱却しつつある
という、日本株の質的変化が見えてくるのです。
💡 設備投資は積極的!見直される「ソフトウェア関連株」
暗い話ばかりではありません。今回の日銀短観では、企業の投資意欲の強さも浮き彫りになりました。
- 大企業全産業の設備投資計画:前年度比+11.5%
- ソフトウェア投資:+10.3%
鎌田:「“先行きは不透明でも、未来には投資する”──企業のこの姿勢が見えてきます。」
松園:「これ、DX・クラウド・AI関連への投資継続って見ても良さそうですね。」
実際、ソフトウェアや設備投資関連銘柄にとっては、業績期待の裏付けになりうる重要なファクターです。
⚠️ 製造業の「為替リスク」と想定レートのギャップ
加えて指摘されたのが、企業の想定為替レートとのズレ。
鎌田:「想定レートは147円前後。でも、今のドル円は143円台。この差4円が収益を大きく削るリスクなんです。」
松園:「特に輸出企業には痛手ですね。もう円安に甘えられない…」
この為替の“地殻変動”は、今後の銘柄選定に直結する視点として意識されるべきポイントです。
🎯 投資家へのメッセージ
鎌田:「“景気が良い”という見出しに惑わされず、利益構造を丁寧に読み解くことが大事です。」
天野:「為替が円高でも株が上がる…ってことは、企業の体質が変わってきたってことですかね?」
鎌田:「その通りです。今の日本株は、輸出頼みの構造から脱却しつつあるということですね。」
📝 まとめ|今回の“ほんまでっか”ポイント
✅ 景況感は良好でも、利益見通しは減益(特に製造業)
✅ 関税コスト+価格転嫁難=加工業種に厳しい構造
✅ ドル建て日経平均では“高値更新”状態
✅ 設備投資・ソフトウェア投資は積極姿勢
✅ 円高進行で想定レートとの差が収益を圧迫
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