ラジオNIKKEI『ザ・マネー』内の人気コーナー「きょうカブ!~鎌田伸一の今日の株式」より、鎌田記者の現場感と洞察をそのままに、市場の動きを振り返ります。


■日経平均は494円安で続落、3万8000円の“滞留時間”に注目せよ

6月2日(月)の東京株式市場は、

日経平均が3万7470円67銭(前日比-494円43銭)、TOPIXは2777.29ポイント(-24.28pt)と、主要2指数そろっての続落

「金属関税」「米経済指標前の警戒感」などニュースで挙げられた材料もありますが、鎌田記者はより深い視点を提示しました。

「先週木曜に日経平均が3万8000円を超えたが、そこから上の滞留時間が極端に短かった

この“滞留時間”という表現に、市場心理のリアルが詰まっています。

3万8000円という節目で買った投資家が利益を確定する時間がないまま急落

この経験が「上値の重さ」への警戒につながり、結果的に利益確定売り・戻り売りが優勢になったという構図です。

「3万8000円台で持っていても、逃げるチャンスがなかった。ならば今売ろう、そういう心理ですよね」


■建設株が上昇の主役に:法人企業統計に見る“内需の回復力”

今日の東京市場で特筆すべきは、全体が下落する中でも建設株が大きく上昇したことです。

  • 上昇業種:全33業種中、値上がりはわずか5業種
  • 上位2業種:倉庫・運輸関連/建設業

ここに「強い内需」の存在感が見えてきます。

▶ 法人企業統計(1-3月期)のデータに注目!

財務省が発表した1-3月期の法人企業統計によると:

  • 全産業の営業利益:23兆円(前年比+11.8%)
  • 建設業の営業利益約4兆1000億円(前年比+30%)
  • 建設業の売上高経常利益率11.6%(前年同期:9.9%)

「建設業だけを取り出しても、利益率は2桁に乗ってきている」

これは非常にインパクトのある数字です。人件費や資材費の高騰が続く中、単価上昇が発注側に受け入れられていることで、利益をしっかり確保できている構造が見えます。

▶ ピックアップ銘柄①:鹿島建設(1812)

  • 大引け:3625円(+61円 / +1.7%)

業界最大手の1社。国内外の大型インフラ案件にも強く、脱炭素関連(再エネ設備・洋上風力など)にも展開中。建設株の象徴的存在として、投資家の注目を集めました。

▶ ピックアップ銘柄②:大成建設(1801)

  • 大引け:8153円(+100円 / +1.24%)

堅実な財務体質と都市開発の豊富な実績で、法人企業統計の好データが素直に評価された格好。内需ディフェンシブ銘柄としての魅力も再認識された印象です。

「グローバル企業が売られる中、国内に軸足を置く企業が選ばれる。その代表が建設株でしたね」


■一方で重しとなった“コスト懸念株”:NTTと日本製鉄に見る課題

▶ ピックアップ銘柄③:NTT(9432)

  • 大引け:157円(-3.4円 / -2.11%)

「この1年間の高値161.7円(昨年7月)に迫るところまで来ていたが…今日は利益確定が出ましたね」

NTTはNISA口座でも人気の高配当銘柄。個人投資家の保有も多く、一時的な達成感からの売りが出た模様。

また、ドコモを通じたSBI系企業の買収報道も株価の重しに。

「M&Aでコストがかさむ、というイメージが先行して、少し慎重になった人もいたのでは」

短期の成長投資が評価されにくい相場環境において、“コスト増”が意識される銘柄はやや不利ということが露呈しました。


▶ ピックアップ銘柄④:日本製鉄(5401)

  • 大引け:2863円(-45円 / -1.5%)

週末、トランプ前大統領の集会で米国進出に関する発言が話題となったばかり。

「米展開で“さらに金がかかるのでは”という懸念が強まった」

コスト負担やM&A戦略を進める企業が、一時的に評価を下げられる空気感が市場には漂っており、NTTと同様に“重し”となる要因が浮き彫りになった格好です。


■今週は重要指標ラッシュ!まずは今晩のISM製造業指数に注目

「今夜発表のISM製造業景況指数(5月分)、非常に注目です」

米国経済の先行きに関する企業の見方(センチメント)がどう変化しているか。

ソフトデータではすでに回復傾向も見られており、実態との整合性が問われます。

「好悪いずれにしても、株価が経済の実態にどう反応するかが今週の焦点ですね」


■本日のまとめと市場データ(6月3日)

▶ 株価・指数

  • 日経平均:3万7470円67銭(-494円43銭 / -1.3%)
  • TOPIX:2777.29ポイント(-24.28 / -0.87%)
  • グロース250:746.00ポイント(+0.76 / +0.10%)

▶ 東証プライム市場の概況

  • 出来高(概算):17億株
  • 売買代金:3兆8398億円
  • 値下がり銘柄数:1012(全体の62%)
  • 値上がり銘柄数:562(34%)
  • 変わらず:56銘柄

▶ 商品市況

  • 東京原油:5万4860円(+550円 / +1.0%)
  • 東京金:1万5469円(+119円 / +0.8%)

📝 編集後記|“鎌田目線”で市場が深く見えてくる

「高値の滞留時間が短かった。そこに現れるのは、売りの決断を迫られた投資家のリアルな焦燥感

今日の鎌田さんの語り口からは、**価格帯の“心理的重み”**が痛いほど伝わってきました。

NTTと日本製鉄の“コスト懸念”、建設株の“底力”——

“何が買われ、何が嫌われたか”がはっきりした一日だったといえます。

今週は重要指標が続きますが、“数字”よりも“市場の反応”をどう読むかが、より問われてきそうです。


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