こんにちは、『きょうカブ!~鎌田伸一の今日の株式』の時間です。

週明けの東京市場、きょうは“地政学リスク”という言葉が朝から飛び交いました。

アメリカがイランの核施設を攻撃——そんな報道が日本時間の週末に伝わり、マーケットも緊張感を持ってのスタートとなりました。

それでは、いつものように鎌田伸一記者とともに、きょうの相場を振り返ってまいります。

出典:ラジオNIKKEI

■ 日経平均は小幅安、一時は380円安の場面も

「さて、まずは大引けの数字からです」

2025年6月23日(月)の東京株式市場、日経平均株価は49円14銭安の3万8,354円00銭(-0.13%)と小幅に反落しました。

TOPIXは2,761.18ポイントで、10.08ポイントの下落(-0.36%)となっています。

朝方には「この地政学リスクでは日本株は大きく下げるだろう」という声もあり、実際、一時は380円近い下げまでありましたが、そこからググっと戻して引けました。
この「戻り」に、鎌田記者は注目しています。

■ 原油価格が“上げ渋り”で、マーケットも“いってこい”

「朝は原油が78ドル台まで上がっていましたよね。ところが、それが74ドル台まで戻ってくる。これが相場の“冷静さ”につながったんだと思います」

今朝の東京時間、WTI原油先物は中東の緊張感を反映して78ドル台に一時上昇しました。

先週末の終値が74ドル台でしたから、いきなり急騰の動きです。

しかしその後、原油はズルズルと下落し、結局74ドル台まで戻りました。

「つまり、“いってこい”なんです。上げて下げる。マーケットは、冷静に“原油急騰リスクはまだ限定的”と見たということです」

この“原油落ち着き”が、株価の戻りにもつながったという見立てです。

■ 米国と日本、エネルギー構造の違いがマーケットに表れる

「こういう地政学リスクのとき、誰がどれだけ打撃を受けるのかを考える必要があります」

今回のように、もしホルムズ海峡が封鎖されるような事態になった場合、もっとも打撃を受けるのはエネルギー輸入に依存している日本や韓国、インドといった国々です。

「日本は輸入エネルギーの約9割がホルムズ海峡経由です。ここが止まれば、たちまち影響が出る」

一方、アメリカはこの20年でシェールガス・オイルの開発が進み、自国内でエネルギー調達が可能な体制が整っています。

「この20年の構造変化が、いまのマーケットに現れている。原油価格が上がっても、アメリカにはある程度の“強み”がある。だから過剰に反応しない。これは大きなポイントです」

■ 防衛関連株、朝高も伸び悩み。材料出尽くし?

「きょうは防衛関連株が注目されました。たとえば三菱重工は朝方3,500円台まで買われたんですが…」

  • 三菱重工:高値3,517円 → 終値3,444円(6円安)
  • IHI:高値16,220円 → 終値15,450円(50円高、+0.3%)

アメリカの防衛費拡大発言や、イラン核施設への攻撃報道を受けて、「防衛関連が買われる」というストーリーが前場は鮮明でした。

しかし後場にかけては徐々に勢いが鈍り、三菱重工はマイナス圏へ。

「“防衛関連株は朝のうちに材料を織り込んだ”。そんな雰囲気でした。

原油価格の落ち着きが、“買いムード”を冷やしたとも言えるかもしれません」

■ 三井E&S、+11.7%!中小型の防衛株に資金が集中

「きょうはむしろ、中小型の防衛関連株に資金が集まりましたね。その筆頭が三井E&Sです」
• 三井E&S:301円高の2,871円(+11.7%)

旧・三井造船である三井E&Sは、現在は造船用エンジンと港湾用大型クレーンに特化した企業。

「最近では、アメリカが“安全保障上の理由から中国製の港湾クレーンを排除し、日本製に切り替える”という動きが注目されています」

その期待が今日の買いに繋がりました。

「後場の大引け直前に高値をつけて、つまり“高値圏で引けた”。こういう動きは、明日以降にも注目が集まる可能性がありますね」

■ 今週の注目ポイントは「米消費者信頼感指数」

「さて、今週のスケジュールで注目は火曜日。カンファレンスボードの消費者信頼感指数が出ます」

先月5月の指数では、“期待指数”が大幅に回復しました。

特に「今後6カ月間の景況感」について、アメリカ国民の見方が前向きになってきたというデータです。

「今回は、それが中東リスクの高まりを受けて、どのように変化しているか。ここがひとつのポイントになります」

■ 本日のマーケットデータまとめ

2025年6月23日|マーケットデータ
日経平均株価 38,354円(-49円14銭)
TOPIX 2,761.18ポイント(-10.08)
出来高(東証プライム) 約15億7,000万株
売買代金 3兆8,328億円
値上がり銘柄数 653
値下がり銘柄数 915
変わらず 58銘柄
東京原油先物 66,050円(+1,800円、+2.8%)
東京金先物 15,990円(+261円、+1.65%)
為替(ドル円) 147円32〜33銭

■ おわりに:「原油が落ち着けば、株も落ち着く」

「きょうの相場をひとことで言うなら、“原油が上がらなかったから、株もそれほど下がらなかった”——そんな1日だったと思います」

中東情勢という、マーケットにはどうしても不確定な要素を含むテーマ。

ただ、現時点では原油価格の落ち着きが、日本株の“底堅さ”を支えている構図が見て取れます。

「しばらくは、“原油がどう動くか”が、株価の安定のバロメーターになるかもしれませんね」

以上、『きょうカブ!~鎌田伸一の今日の株式』でした。明日も、マーケットの「きょう」と「これから」を、しっかりお届けします。